家計の視点によるパチンコ支出の可能性
  • 大学名:東洋大学大学院
  • 氏名:鈴江 節子

  • 目次

    1. 導入
    2. パチンコ支出額傾向
    3. 所得―消費曲線
    4. パチンコ支出額の妥当性
    5. 新しいお客様
          5-1時代のニーズ
          5-2新しい顧客の獲得
    6. 結論
  • 1.導入

    パチンコは、それをしたことが無くても、その言葉を知らない日本人は殆どいないといえるほど、日本人にとって馴染み深い娯楽である。しかしパチンコ・パチスロ業界は近年衰退傾向にある(※1)。しかしパチンコ周辺機器の売上により上昇傾向にある企業もある(※2)。そこでパチンコについて、ある経済学的分析を行い、そしてパチンコ業界活性化のための一つの提案を提示する。

    『家計調査』、所得―消費曲線、パチンコの市場規模(概算)、『国勢調査』を利用することにより、パチンコの現状を把握する。次に新しいお客様を提案するために、まず時代のニーズに対応するための方策を考察する。次に新しい顧客獲得のための方策を提示する。 以上により、家計の視点によるパチンコ支出の可能性を述べる。

    (※1) http://www.e-pachinko.com/   「パチンコ参加実態調査2007」速報、2006/10/07, 日本経済新聞 朝刊, 5ページより。2006/11/21 , 日本経済新聞 朝刊, 16ページ
    (※2)2006/11/10 , 日本経済新聞 地方経済面 (群馬), 43ページ
  • 2.パチンコ支出額傾向

    総務省統計局『家計調査』の(品目分類)一世帯あたり年間の品目別支出金額 購入数量および平均価格(全世帯)のデータを使用する。同様の家計のパチンコ支出が、『家計調査』の教養娯楽支出と同率で変化すると仮定する。

    1963年から1995年までの教養娯楽支出を対象に算出した成長率(※3)の近似式の傾きは、前年比成長率が-1.0598(R2 = 0.2675)であり、また1995年の負幅が他の値と比べ大きいため1995年を除いた場合-0.5275(R2 = 0.6325)となる。5年前比成長率の場合は-3.9394(R2 = 0.8685)、同様に10年前比成長率-13.187(R2 = 0.9009)、15年前比成長率-29.29(R2 = 0.9417)、20年前比成長率-48.876(R2 = 0.9749)、25年前比成長率-82.518(R2 = 0.9647)、30年前比成長率-145.94(R2 = 0.9844)である。これを短期的視点とおく。比較年が遡る程負の値が大きくなってきている。

    近似式の傾きが負の値であることより年が新しくなるにつれ成長率が小さくなってきており、成長率の比較年の幅が大きくなるほるほど近似式の傾きが大きくなることより成長率は継続的に小さくなってくる傾向にあることが窺える。

    次に1963年基準を長期的視点とおくと、成長率は増加傾向にある。近似式はy = 40.666x - 124.81であり、R2 は 0.9894である。しかしその成長率は、1993、1994、1995年は前年比で負となっている。これより今後この傾向でパチンコの成長率は増加していくと予測できる。また傾きが正の値であることより、正の成長をしている傾向にあることが分かる。

    これより短期的には今後更にパチンコ支出は減少し、長期的には増加することが推測できる。これらを踏まえると、パチンコ支出は増加するがその幅は小さくなっていく傾向にあるといえる。

    しかしこれは仮定を踏まえた考察であるため、同じカテゴリーであっても品目間の競争を考慮に入れる必要がある。

    それらを考察するため、次に予算制約線と効用曲線より導かれる、所得―消費曲線を用いた分析を行う。

    (※3)成長率は比較年の値から基準年の値を引き、それを基準年の値で割り100を掛けたもの。
  • 3.所得―消費曲線

    総支出(所得)をM、パチンコ以外の品目に対する支出をA、パチンコに対する支出をB、教養娯楽支出をCとする。

    教養娯楽支出金額の範囲内である所得―消費曲線0cが正常な支出であると仮定する。家計の教養娯楽支出を全てパチンコに費やすことは本来、社会的(倫理的)に問題となることであるかもしれないが、ここでは大まかに捉えるためそのようにする。例えば図1においては、所得―消費曲線cdは倫理的損失を伴っている。

    パチンコに対する支出は教養娯楽支出内(C≧B)で行われる。それを超える場合、他の品目支出を取り崩す(C<B≦M)。例えば図2においては点aにおいて全ての家計支出をパチンコに費やす。図2は点cの前後を境にパチンコ以外の支出が上級財から中級財下級財へと変化していく場合である。パチンコに対する支出は上級財のままである。

    点aはB =Mとなる点である。点cにおいてB/Cが1すなわちC=Bとなる。また直線ghは教養娯楽支出の予算制約線であり、直線adは総支出の予算制約線である。つまり図1においては、直線ghは正常なパチンコに対する予算制約線であり、その予算は直線adに含まれる。

    また貯蓄は0とする。そしてパチンコに対する支出は教養娯楽支出に含まれるものとし、奢侈品であるとし、他の教養楽支出と代替的にパチンコに対する支出を増やすことには、なんらパチンコ以外の他の品目に対し負の影響を与えることはないが、それを越えて支出する場合、必需品への支出の減少などにより悪影響をもたらすものとする。

    図1は曲線0cd、図2においては曲線0ca、図3では線分0hd、図4では直線0cb、図5においては直線0cbc’…が所得―消費曲線であり、予算の増加に伴う消費行動の軌跡である。

    図4、図5において予算線ghまではパチンコに対する支出およびパチンコ以外に対する支出は、双方とも上級財であり右への予算線のシフトに伴い最適消費点も右上方へシフトする。通常であればc点に達したところでパチンコに対する支出は予算制約線と接するため、それを越えては支出することは出来ない。しかしパチンコは中毒になる恐れのある品目であり、教養娯楽支出の予算の限界まで支出し中毒になった場合、所得のある限り他の品目を圧迫しながら、それを超えても支出し続ける可能性がある。

    図1の場合は最適消費点0から最適消費点cに向かい、パチンコ支出は上級財から中立財へと移行していく。しかしc点に達したところでパチンコに対する支出は、パチンコ以外の支出品目との兼ね合い、すなわち食費などの必需品への支出、或は倫理的観点より、予算線ghが右にシフトしながら下級財となっていき、最適消費点は右下方へシフトしパチンコに対する支出は次第に減少し、予算線ghと予算線adが一致したd点において0となる。すなわち教養娯楽支出の範囲内で概ね上級財、それを超えた場合は概ね下級財となる。最適消費点c周辺において中立財となる。総支出の予算制約線はadである。これはパチンコに対する支出を考察するためのグラフである為、教養娯楽支出を優先的に考察する。パチンコは一般的には奢侈品である。したがってc点を越えての支出は生活の窮乏へと向かう。しかし、中毒となり必需品となり得る。その場合でも他の要因により、ある程度その支出は抑制される。

    図5は、唯一、外部からの借り入れにより支出を行う場合である。これはc点において減少し始めることなくb点において0とならず、パチンコに対する支出は金銭の工面がつく限り続く。すなわち予算線ghが金銭の工面がつく限り右に平行移動する。また支出品目間の最適消費点も同様に移動し、いずれか一方の品目が中立財や下級財に変化しない。また借り入れによる支出は破産した場合も、単にパチンコへの支出に使用するためという理由では免責対象とならないため、救済の余地が少ない。

    図4はパチンコに対する支出が図5と同様に上級財のまま増加していき、パチンコの正常な支出額の範囲は超えるが一世帯あたり総支出に達したところで支出をやめる図である。倫理的損失は図1より大きく図2よりは小さい。

    図3のように教養娯楽内の支出としてパチンコ支出を抑える場合もある。所得―消費曲線は教養娯楽支出内で上に凸の曲線を描き、教養娯楽支出の予算線に接したところ(最適消費点h)で、その後は横軸に沿って総支出の予算線に接するところ(最適消費点d)まで推移する。

    以上5つの場合が想定されるが、加えてパチンコを全くしない家計もあることを考慮に入れると、図1から図5に次ぐ6番目の場合ということができる。

    パチンコ支出が教養娯楽支出を越えると、社会的(倫理的)損失を伴うため望ましくないのでその場合を除くと、最後に挙げた6つ目の場合と図3の場合が望ましい場合であるといえるが、パチンコ業界の活性化の観点を考慮に入れると、図3の場合を多く創出することが最も適切で必要である場合であることは言うまでもない。

    図1と図2
    図3と図4
    図5

    尚、無差別曲線は心理的な要素の強い曲線である。したがって所得―消費曲線がこのような軌道を描くことは妥当である。

  • 4.パチンコ支出額の妥当性

    約30兆円のパチンコ市場、教養娯楽支出額、全国の世帯数を考察する。

    1963年から1995年までの教養娯楽支出の時期列グラフの直線近似式は

    y = 13299x - 8112.6

    R2 = 0.9894

    である。

    この式より2005年の教養娯楽支出を推計すると、563,744.4円となる。2005年を推計した理由は、入手した国勢調査のデータに合わせたためである。

    2005年国勢調査の世帯数は49,566,305世帯であり、2005年の教養娯楽支出にこれを掛けると2.79427E+13すなわち二十七兆九千四百二十七億二千六百八十七万二千四百四十二円となる。これからパチンコの市場規模である30兆円を引くと-2.05727E+12、すなわちマイナス二兆五百七十二億七千三百十二万七千五百五十八円となる。そしてこの値を2005年国勢調査の世帯数49,566,305で割ることにより-41505.47691が得られる。この値が2005年の一世帯あたり教養娯楽支出を超過したパチンコに対する支出額の概算となる。つまり一世帯あたり約41,505円である。

    ※3.所得―消費曲線、4.パンチンコ支出額の妥当性より、既存のパチンコ顧客支出額より新規の消費者数を増加させることが望ましいことが分かる。

    4.パンチンコ支出額の妥当性において算出された世帯数が潜在的な新しいお客様であるべきであるが、その支出額はその世帯に割り振られるべき支出額を超過している。しかしパチンコをしたことがない世帯はある。したがって消費者の集中が窺える。ゆえにパチンコの消費者数を増やし、一人当たりパチンコ支出を減少させ、支出額を分散させる必要がある。

    したがってその一世帯あたり年間約41,505円の支出をどのように捉え、更にパチンコ産業を発展させるためにどのような方策を模索するかが問題となる。41,505円は倫理的損失を伴わないように増加させる必要がある金額であると捉えられるであろう。そしてそれは41,505円以上にパチンコ産業を発展させるために、極力射幸心を煽らないようにする方策が必要である。

    そのことによって得られるお客様が新しいお客様である。

  • 5.新しいお客様

    まず、支出を分散させるために必要なことを提案する。これはもう既に為されていることも多いがそれらの私的理由付けとする。

    次に、射幸心を煽らず円満にパチンコ産業を発展させる方策を提示する。

    しかし、まずは全体的視点をもつ為パチンコ業界の既存の顧客も含めた収入強化の方策を提示する。

  • 5.1時代のニーズ

    柔軟に時代のニーズに対応することが必要である。例えば消費者の所得が減少しているにもかかわらず、そのことを考慮に入れない運営方法を続けない等である。

    パチンコに対する需要は奢侈品であり必需品ではない。所得が減少すると支出が減少しやすい産業である。そのために柔軟な経営を行う必要がある。しかし娯楽を完全に捨てた生活は考えにくいものである。また極端には、デューゼンベリーの恒常所得仮説(※4)によればラチェット効果により、消費が「自分の過去の、最高の所得や消費に依存」し、消費を減少させないことも考えられる。しかし現実にはそのような消費者ばかりではないだろう。支出が減少した中で、他の代替的娯楽支出に負けない魅力、しいては必需品にも劣らない競争力をつけるための具体的対応策として以下のことをあげる。

    第1に効率よく宣伝することである。例えばパチンコ大会を催す。なぜなら個人で楽しむのみならず、皆で楽しめるイベントを催すことにより、正の外部性を生み出すことが可能となるためである。或いはパチンコ関連のホームページを充実させること、またはある程度(※5)的確なダイレクト・メールを送付する。パチンコ関連のホームページは来店への足がかりとなることを心がけ、手軽に楽しめる店舗にある機種と類似のゲームを取り入れ、店舗の宣伝も折り込む必要がある。そのことによりどのような機種が店舗にあるかを知ることができ、パチンコに興味を持ち、好きになることが可能となる。ダイレクト・メールは的確すぎると個人情報に対する顧客の警戒心を煽ることとなるため「ある程度」的を絞る必要があり、効率的に需要を創出することが可能となる。

    第2に会員カードを発行する。これはリピーターの獲得、個別店舗のブランド価値の創出に役立つ。全く知らない店と比べ愛着も湧き、そのことによって顧客にとって価値ある店舗となる。顧客にとって価値ある店舗となることにより、その顧客は店舗のリピーターとなる。また第一のダイレクト・メールとも関連するが顧客情報を得ることが可能となり顧客の需要を割り出すことが可能となる。

    第3にポイントカードを作る。ポイントを金銭に換算したり、その他サービスに利用したりすることにより、消費者の「お得感」を創出するためである。

    第4にサービスデーの拡充を行う。そのことにより第三の理由と同様に、サービスデーにおいて消費者余剰を増加させる。また消費階層ごとの需要創出アプローチとなる。話題性が生まれ、限定化することにより日時の希少価値が高まる。

    第5に消費者に所得の余裕があるときは多角化経営によりフードコート、銭湯など一日過ごせる空間を作る。このことにより付加価値の拡充と消費者の層を広げることが可能となる。例えばパチンコに興味が無くても、友人などと一緒に訪れ、楽しい時間を過ごすことができるようにする。そしてパチンコに興味を持ち、好きになってもらえるようにすることを目標とする。またパチンコの新しいイメージを創出する。また、ポイントカードと関連し、パチンコでたまったポイントをグループ施設であれば使用可能とし、域内通貨とする。

    第6に初心者にも分りやすいルールと魅力ある特典を心がける。初心者にも分りやすいルールはパチンコに対する障壁の除去に役立ち、魅力ある特典により消費者を惹きつけることが可能となる。ただし、言うまでも無く景品表示法に違反しない特典であることは心がけるべきである。

    第7に禁煙席の確保と、託児施設の設置を徹底する。未だ完全に設置されている状況ではなく必要とされている設備である。禁煙席については、煙草は奢侈品であり健康被害も少なくない。非喫煙者が近くにいる場合、喫煙者本人だけでなく非喫煙者にも影響を及ぼす。したがって非喫煙者もパチンコを楽しむために必要な設備である。託児設備については気軽にパチンコを楽しむために必要な設備であり、パチンコにより親しみやすくし、パチンコをプレイするための障壁を低くする。

    第8に新機種の拡充を心がけ、使用頻度によって機種の入れ替えも行う。常に新鮮さを保つためと、効率化のためである。いつまでも使用される頻度の低い機種を設置すると収益と比較して、メンテナンス・コストばかりが嵩む。使用頻度の低い機種が増えるとプレイヤーの興味が薄れ、足が遠のく。

    第9にパチンコが下手な人でも楽しめるパチンコ台の投入である。例えば、お試し機を作る。その機械はプレイヤーの失敗頻度によっても特典がつくようにする。20回失敗すると店内のジュースと交換できるなど。しかし成功した得点のほうが高く、新しい難易度の高い機種への足がかりとなる、練習ができまたパチンコと親しむための下準備ができる機械を作る。成功した場合は1回でジュースと交換できるチケットが発行されるなど。その機械は、通常機種の三分の一程度の価格で使用できるが、一回の使用頻度は20プレイまでとし、成功すると20プレイ追加使用が可能となる。お試し機に使用料金を科す理由は、気兼ねなくプレイするためと、只の暇つぶしで終わらずある程度真剣に取り組むようにするためである。

    第10に気楽に時間を過ごせる空間作りを行う。第六のルールと同様に、パチンコに親しむための障壁の除去となる。空間作りによってパチンコのイメージを変えることも可能であり、新たな消費者を呼び込むことが可能となる。例えば静かな空間を作り、音が必要な消費者にはヘッドフォンを使えるようにする。或いは座席をマッサージチェアーにする、フードコートを併設する等である。

    (※4)資格試験研究会[2004],『公務員試験 新スーパー過去問ゼミ マクロ経済学』,実務教育出版.p.108
    (※5)伊藤元重[1990],『流通が日本を変える』,日本評論社.p.139
  • 5.2新しい顧客の獲得

    大衆性のみを追求するのでは無く、逆に階層化しニッチな層も取り込むようにすることを提案する。

    具体的対応策として、所得による階層化と嗜好による階層化を行う。

    所得による階層化は、クレジットカードと同様に会員カードを作るための年会費で差別する。また特典についてもそれに見合うだけの特典をつける。具体的特典とは、競馬のようにプレイルームを分ける、或いは機種の種類を分ける。また、年会費の高い会員ほど座席を座り心地のよいものにし、ドリンクサービスを拡充する。

    座席及びドリンクについては長時間滞在しても苦にならない環境作りとして必要である。また送迎を行う。送迎については必要性があると思われる顧客層について行う。しかし効果が見込めない場合など柔軟に対応する必要がある。

    地域や人に密着した心ある運営を心がける。

    また顧客階層ごとに、パチンコのプロであるという明確な基準を作り、資格を与え、仕事を与える。これはパチンコのイメージを只のギャンブル或いは娯楽ではなく技術の必要な立場あるゲームとして確立するためである。また、仕事を与えることにより宣伝塔ともなりうる。

    嗜好による階層化については、年齢、性差、未婚か既婚か、職業など会員カードをクレジットカードと提携し、得た情報より慎重に顧客を分類し、需要を割り出し、付加価値を創出しパチンコの価値を高め固定客を確保する。それは機種についてでありまたは、サービスについてである。それを宣伝に使用し、或いは嗜好を模索する。階層化することにより効率的な戦略が可能となる。

    例えばポイントを還元できる機種、期間、特典を限定する。食品に対し需要の高い消費者であれば、食品に関連する機種を用い、その具体的メニューについてもパチンコをプレイすることにより獲得したメニューを提供する。その他、按摩、飲料、タオル、シャワーなど快適に滞在するために必要と思われるサービスをパチンコのプレイによっても得られるようにする。金銭により購入することも可能であるが、その場合は市場価格より多少割高にするなど、差別化を行う必要がある。またプレイによって得られた特典は本人以外でも利用可能とする。そのことによりより広い層がパチンコと親しむことが可能となる。期間、特典の限定については、限定とすることにより潜在的需要を引き出すことが可能となる。

    以上から個別視点として支出を分散させるために必要な事柄を抜粋する。

    5.1の時代のニーズから、第1、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10である。

    次に射幸心を煽り過ぎない方策は、

    2006年10月6日、 日本経済新聞 地方経済面 (長野) 3ページより、「ここ数年、市場に出回っているパチンコ台は一―二時間打っても当たりが出ないことが多いといわれる。その反動で、一度当たりが出ると大量のβエンドルフィンが分泌され、一気に快感と感じ、依存症に陥りやすいという。篠原教授らは十五分に一回程度で当たりを出すなど、パチンコ台の改善を求めている。」とあり、パチンコの射幸心を煽る原因と、煽らないようにする方策はその様にすべきであると思われる。

  • 6.結論

    パチンコに対する支出額の傾向をみるため、それが家計の教養娯楽支出と同率で変化すると仮定した。1963年から1995年の教養娯楽支出を成長率にし、基準年を変えながらそれぞれの基準年における時系列の傾向をみた。それよりパチンコ支出は増加するがその幅は小さくなっていく傾向にあることが分かった。

    次に所得―消費曲線を用い個人(一世帯あたり) のパチンコに対する支出行動を考察した。6つに場合分けし、パチンコという財に対する5つの所得―消費曲線を導いた。そのことにより望ましい所得―消費曲線を模索する。パチンコ支出を教養娯楽支出内の支出にとどめる場合が社会(倫理)的には妥当であり、2つの場合が当てはまるが、パチンコ産業の発展を模索する場合は図3が最も妥当であるという事が分かった。

    そして1963年から1995年までの教養娯楽支出の時期列グラフの直線近似式を求めることにより2005年の教養娯楽支出を推計し、それと国勢調査による世帯数、パチンコの市場規模である凡その売上金額を合わせることにより、2005年の一世帯あたり教養娯楽支出に対するパチンコの支出額の概算を求める。このことにより、パチンコの市場規模が妥当であるかどうかを検証した。パチンコの売上金額は、家計の教養娯楽支出金額以上にあり、パチンコ業界の強大さが窺えた。しかしこのことはパチンコのギャンブルという性質上、社会的に望ましいことではなく、また3.所得―消費曲線、4.パチンコ支出額の妥当性の分析結果から得られた妥当な値を逸脱している。

    そこで次に、新しいお客様を得るための提案を提示した。ここではまず、時代のニーズについて考察した後、新しいお客様の像へと移ることによりマクロ的視点を述べる。

    そして更に円満にパチンコ産業を発展させるための方策をマクロ的視点より抜き出し、また新聞記事を引用して考察した。

    以上よりパチンコ産業は今後、今までになかった雰囲気や、サービスの店舗を生み出し、新しい顧客を獲得し、ギャンブルという性質を薄める、すなわち射幸心を極力煽らない方向に向かうことにより、更に発展していくことが可能となる。

  • <主要参考文献・ホームページ>

    • 伊藤元重[1990],『流通が日本を変える』,p.139,日本評論社.
    • 奥崎謙三[1972],『ヤマザキ、天皇を撃て| : "皇居パチンコ事件"陳述書』,p.256,l.12,三一書房.
    • 加藤秀俊 [1984],『パチンコと日本人』,講談社.
    • 資格試験研究会[2004],『公務員試験 新スーパー過去問ゼミ マクロ経済学』,p.108,実務教育出版.
    • 杉村暢二 [1996] ,『都市と遊技場 : パチンコ店の地域分析』大明堂.
    • 谷岡一郎[1998],『現代パチンコ文化考』,筑摩書房.
    • [1994],『アミューズメント施設のデザイン : カラオケルーム、ゲームパーク、パチンコホールなど40店収録』,商店建築社.
      『家計調査年報』1963年から1995年版.
    • [2006],「テクノロジー リサイクル優等生マテリアルリサイクル率85%職人技の手解体で収益性高める−「パチンコ台」」,『日経エコロジー』,pp50〜51,日経BP社.
    • [2004],「リポート 今月のワザあり企業 ユーコーリプロメーカーの信用を獲得した パチンコ台リサイクル−ユーコーリプロ」,『日経エコロジー』pp178〜179,日経BP社.
    • [2003],「急成長の半導体ベンチャー パチンコで磨いた技術を 次なる市場で生かす 佐々木 譲氏 アクセル 代表取締役 社長」,『日経エレクトロニクス』,pp192〜194,日経BP社.
    • [2003],「What’s New 輝度を落とさず3次元表示 かまぼこ状レンズを上下−パチンコやケータイを狙う」,『日経エレクトロニクス』,pp26〜27,日経BP社.
    • [2002],「上場ニューフェース ジェイ・プランニング 山口洋 社長 パチンコ店飲食サービスがヒット−飲食物とウェイトレスを送り込み、店の売上アップにも寄与」,『日経ベンチャー』,pp64〜65,日経BP社.
    • [2006年10月7日],「日本経済新聞」,朝刊 ,p.5.
    • [2006年11月21日] ,「日本経済新聞」,朝刊 ,p.16.
    • [2006年11月10日] ,「日本経済新聞」,地方経済面 (群馬),p.43.
    • [2006年10月6日],「日本経済新聞」,地方経済面 (長野),p.3.
    • http://www.e-pachinko.com/
    • http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B3
    • http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/kihon1/00/zuhyou/a002.xls

 
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