パチンコ店ができると地域環境が良くなる  (イメージ転換戦略について)
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  • 大学名:大阪大学
  • 氏名:畑 真弘

  • 目次

    1. 本文の要約
    2. パチンコ業界の現状について
      1. パチンコの直近の市場規模
      2. パチンコの市場規模の推移
      3. パチンコ・パチスロ台の規格変更の影響
      4. 「3店方式」について
      5. パチンコホール運営企業の株式上場について
      6. 保安電子通信技術協会
      7. パチンコ依存症について
      8. パチンコのイメージ
      9. 社会問題との関連
    3. パチンコの将来への課題と改善提案
      •      1) 「3店方式」を廃止できれば…。
         1-1) 「3店方式」の改善案
      •      2) 市場規模の拡大(失われた1000万人のパチンコへの回帰)について
         2-1) 失われた1000万人のパチンコ回帰の方策について
         2-2) 具体的な投資金額について
      •  
      •      3) パチンコ依存症への対策
      •      4) 「パチンコ店ができると地域環境が良くなる」イメージ転換戦略
    4. 参考文献・URL
  • 1.本文の要約

    まず、パチンコ業界の現状について、概要を記述した。パチンコ業界の市場規模は約30兆円でその他の産業と比較しても非常に大きい。しかし、パチンコ台の規格変更の影響などからパチンコファンは平成7年から平成17年にかけて1000万人以上も減少してしまった。また、パチンコ業界を巡る現状を語る上で重要なテーマだと考えられる、「3店方式」「ホール運営企業の株式上場」「保安電子通信技術協会」「パチンコ依存症」「社会問題との関連」について概要を述べた。

    パチンコの将来に関する提案として、「3店方式」の改正、「失われたパチンコファン1000万人のパチンコ回帰戦略」「パチンコ依存症への対策」「パチンコ店ができると地域環境が良くなる」という大胆なイメージ転換戦略について述べた。

    「3店方式」の改正では、パチンコを健全なギャンブルと法的に再定義し、ホール運営企業の株式上場などを通して社会に対して開かれた業界にするという対策を提案した。「失われたパチンコファン1000万人のパチンコ回帰戦略」では、「お金をかけずに遊べる台」でパチンコ本来の楽しさを体験するという理念のもと、1玉4円から2円に半額にする対策を提案した。「パチンコ依存症への対策」では、タバコのパッケージに肺ガンのリスクを掲載しているように、パチンコ店内にも依存症に関するポスターやパンフレットを置いてリスクを説明することを提案した。「パチンコ店ができると地域環境が良くなる」では、環境配慮型、治安保全型の店舗設計の義務化などを提案した。

  • 2.パチンコ業界の現状について

    • 1)パチンコの直近の市場規模

      社団法人日本遊技関連事業協会のサイトによると、平成17年度のパチンコの市場規模は28兆7490億円と推定されている。この約30兆円という市場規模はその他の産業と比較しても非常に大きい。日本国内の娯楽・ギャンブル市場における他業種の市場規模は、中央競馬が年間売上3兆円、競輪が1兆円、競艇が1兆1000億円、宝くじが1兆円と推定されているので、その他のギャンブルと比較してもパチンコの市場規模は莫大であることがわかる。また、ギャンブル以外の産業と比較しても、自動車産業が部品を含めて41兆円、医療関係が32兆円であることを考えると、パチンコ業界の約30兆円という市場規模は非常に大きい。

      平成17年度の調査では、全国にパチンコ店が13163店、パチスロ専門店等が2002店、合計15165店あるという報告がある。平成17年度には1710万人のパチンコファンがパチンコに興じたという推定がなされている。

    • 2)パチンコの市場規模の推移

      財団法人社会安全研究財団のパチンコに関する世論・有識者調査(以下、調査1と呼ぶ)の冒頭において、平成14年時点でのパチンコ業界の新たな状況及び問題意識として、「パチスロの射幸性とホール営業のギャンブル性が特に強まり、結果として売り上げは平成9年当時と変わらず30兆円台近くを維持しているものの、ファンはピーク時から約1千万人減少した。」という指摘がされている。

      レジャー白書を調べてみると、平成7年度には年間2900万人がパチンコに興じていたと推定されているが、前述のように平成17年度には1710万人と大幅に減少していることがわかる。市場規模自体は約30兆円のままほとんど変化していないということを考えると、この10年間に、パチンコプレイヤー数は1000万人以上減少したが、現在残っているパチンコプレイヤーはより大きな金額をパチンコに消費していることがわかる。つまり、ライトプレイヤーが減少し、ヘビープレイヤーが残っているという現状が推定される。

    • 3)パチンコ・パチスロ台の規格変更の影響

      調査1において、パチンコを以前やっていた者がパチンコをやめた理由として、「お金がかかりすぎる」(51%)が最も多い理由であった。

      また、平成15年に全日本遊技事業協同組合連合会依存症研究会が実施した調査(以下、調査2と呼ぶ)では、「昨今のスロット機や新基準CR機一人あたりの遊技金額が上がる一方、波が荒いためライトプレイヤーの客離れを心配する声が聞かれます。そのような危惧がご自身にもありますか?」という質問に対して、調査対象のホール店員のうち80%の者が「ある」と回答していた。このように、ホール店員の多くが現状の機種はライトプレイヤーを減少させるほど波が荒い機種であるという認識を持っていることがわかった。

      この2つの調査結果は、2)パチンコの市場規模の推移で述べた、ライトプレイヤーが減少し、ヘビープレイヤーが残っているという変化を引き起こした原因を示唆するものである。つまり、パチンコ・パチスロ機の規格変更により、パチンコ・パチンコに興じるためにはお金がかかり過ぎる状況が生じてしまった。そのため、ライトプレイヤーはパチンコをやめ、そして、ヘビープレイヤーだけが残り、多額のお金を使用し続けているという現在の状況になったと考えられる。

    • 4)「3店方式」について

      パチンコの換金システムについては「3店方式」という方法が習慣化している。賭博になるという理由でホールは客に現金を出すことはできない。代わりに、特殊景品という景品を客に渡している。その特殊景品を受け取った客は、店外の特殊景品「買い場」に持っていき、「買い場」で現金で買い取ってもらう。この方式で、客は特殊景品を現金化することができる。

      一方で、「買い場」は問屋を通じて特殊景品をホールに戻している。 特殊景品がホール、買い場、問屋という3店を回る中で、本来は禁じられているはずの現金が客に渡ることになる。こうした換金システムは法的にはグレーゾーンで、パチンコの好ましくないイメージの元凶となっており、また、様々な圧力を受けやすい温床となっていると考えられる。

      このような換金システムに対して、調査1では、換金容認派が大多数(74%)であったが、換金反対を含め「現行では良くない」が多数意見(55%)であった。

      また、同調査において、有識者を対象としたアンケートでは換金システムについて「現行のままで良い」とする有識者は極少数(9%)であった。大多数は何らかの方策が必要であると考えていることがわかる。そして、その方策としては「買取所の公的機関化」(30%)「業法を設け不正を排除」(29%)「公営競技化」(28%)と完全に三分されていた。

    • 5)パチンコホール運営企業の株式上場について

      パチンコホール運営の業界1、2位のダイナム(東京荒川区)、マルハン(京都市)は今期の売上がそれぞれ1兆円を超えるほど大きい。ダイナムの平成18年度3月期の売上は約1兆1800億円である。マルハンの平成18年度3月期の売上は約1兆6400億円である。マルハンは10年も前から従業員持ち株会を作って上場の準備をしていると言われている。パチンコ機製造メーカーは何社も株式上場しているが、ホール運営会社で上場を認められたところは現在のところ1社もない。前述した2社に関して、売上規模、財務状況、社会貢献活動、そしてIR情報など投資家に向けた情報開示の状況などを鑑みても上場企業と遜色ない状態であると考えられる。しかし、現実にはこの2社ともに現時点では株式上場に至っていない。業界最大手のこの2社が株式市場への上場を申請したのかについては不明であるが、パチンコホール運営企業の株式上場を巡って次のようなニュースがあった。

      2006年春、首都圏に約30店舗を展開する業界準大手のパチンコホール運営企業が株式上場申請をしていたのだが、ジャスダック市場に株式上場申請を却下されてしまった。この上場申請却下の理由として、企業の業績面ではなく、パチンコホールが抱える「3店方式」による換金システムが問題であったとニュース記事の中で指摘されていた。

      このように「3店方式」が、パチンコ業界の好ましくないイメージの元凶になっているのみならず、パチンコホール運営企業の株式上場を阻害している要因になってしまっていることがわかる。

    • 6)保安電子通信技術協会

      保安電子通信技術協会(以下、保通協)は、パチンコ機、パチスロ機の試験・検査を行う全国唯一の組織である。1986年、国家公安委員会告示で検査機関に指定された。東京墨田区に本部を構えている。

      保通協は風適法20条5項に基づいた指定機関として、遊技機の認定及び検定等に関する規則に定められた技術上の規格に適合しているかに関して審査を行っている。

      平成17年度収支計算書総括表によると、保通協の試験検査料手数料収入は約22億8000万円である。一般会計と特殊会計を合算した平成17年度収入合計約27億5000万円から考えると、収益の82.9%を試験検査手数料に依存している組織であることがわかる。

      遊技機の試験検査はこの1団体の独占業務となっており市場原理が働かないため、遊技機の検査費用は非常に高額になってしまっている。そして、この高額な検査費用がパチンコ業界の負担、最終的には、パチンコファンの負担につながってしまう。また、1社独占という状況は、様々な圧力関係などが存在しやすい状況となっていることは否定できない。

    • 7)パチンコ依存症について

      調査2では、医療関係者や回復施設関係者から「日本において『ギャンブル依存』という病気を発症した患者の相当数がパチンコやパチスロを依存の対象としている」との声が多く発せられている、という記述がなされている。

      平成15年度に全日遊連が「依存症研究会」を設置し、その現状把握のための調査を行った。

      その調査では、パチンコ来店客のうち「パチンコ依存症だと思ったことがある」と回答した者が29%で約3割であった。年齢を増すほど「思う」と回答する傾向が強くなり、特に女性にその傾向が強いという結果であった。ただし、この結果に解釈については、「パチンコ依存症」という言葉は、病理学的に明確な定義付けがなされておらず、また、一般的にパチンコに熱中している(はまっている)ことを示すことが多いという現在の社会状況を意識することが必要となる。

    • 8)パチンコのイメージ

      財団法人社会安全研究財団のパチンコに関する世論・有識者調査の冒頭部分の指摘では、 「業界のイメージは依然として悪く、例えば1パチンコは不況でも儲けている、2事実上ギャンブルである、3脱税の常連である、4暴力団との癒着がある、5地域社会への悪弊を及ぼしている、等々いった印象を未だ払拭できていない」という指摘がある。1〜4の項目についてはアンケート調査において、半数以上のものがそのイメージを持っていると回答している。反対に、「社会全体によく貢献している」というイメージを持っている者は5.7%と非常に少ない。

    • 9)社会問題との関連

      真夏の駐車場で、親が乳幼児を車内に置きっぱなしにして熱死させる事件。パチンコに熱中するあまり、消費者金融に手を出し、借金が膨らみ続ける事件。マスコミでは、このような好ましくない事件との関連でパチンコ業界が取り上げられることが少なくない。しかし、パチンコホールの実態はこうした印象とは大きく異なるようである。

      調査2では、業界における社会問題への認識として、パチンコ店に子ども連れや子どもを車に置いてくる事があった場合、貴店ではどのような対応をしますか?」という質問に対して、「引率者に対して注意をする」(63.4%)「著しく目に付くようだったら注意する」(25.4%)で、「放置する」のはわずか0.1%であった。

      「店舗の駐車場でのローン業者の勧誘やビラ配布、店舗内でのローン勧誘について、貴店ではどのような対応をしますか?」という質問に対して、「業者に対して注意をする」(44.6%)「業者に注意はしないが、ビラ等は極力剥がす」(22.5%)で、放置するはわずかに1.2%であった。この調査結果から、パチンコホール側はこのような社会的問題について対策を採っていることがわかった。

  • 3.パチンコの将来への課題と改善提案

    • 1)「3店方式」を廃止できれば…。

      本文で引用した調査結果から、現行の換金システムで問題がないと思っている者は少数であることがわかった。こうした点を重視し、換金システム、つまり「3店方式」を変更していくことが必要であると考えられる。もし、「3店方式」を変えることができれば、パチンコ運営企業の株式上場を阻害していた要因の解決につながり、株式上場の可能性が高まる。株式上場を通して、財務諸表の一般公開などを実施し、世間に対して開かれた会社運営を実現することができる。こうして、パチンコ業界は世間の信用を勝ち取ることができると考えられる。上場企業として信用を得ることが現状を変える大きな一歩となることは間違いない。

      さらに、「3店方式」自体がパチンコ業界の存在をグレーゾーンにしていた元凶であったので、この方式を断ち切ることで様々な圧力を回避して、クリーンな会社運営が可能になる。

    • 1-1)「3店方式」の改善案

      具体的に、「3店方式」をどうするかであるが、調査1に挙げられていた「買取所の公的機関化」「業法を設け不正を排除」「公営競技化」などの方策が考えられるであろう。

      ここで、私が考える最も効果的な方策は、「パチンコ業法」などの法律を新たな策定し、パチンコを遊技ではなく、公営競馬などを同じギャンブルと定義することが必須であると思う。このようにパチンコをギャンブルと位置付けて、法律的にグレーゾーンである陰のある産業ではなく、健全なギャンブルと再定義することが重要であると考えられる。

      例えば、競馬のJRAはテレビCMなどを多く放送し、最近では年齢層を問わず幅広いファンが競馬場に出かけている。また、イメージとしても、ハルウララやディープインパクトの人気などを追い風にして、健全なイメージが高まってきていると考えられる。このように、ギャンブルと位置づけることで、非合法的なイメージを払拭して、健全なものとして周知させることが可能になるであろう。

      このように「3店方式」を廃止させ、パチンコの健全なギャンブル化を目指すためには、以下に挙げるようなパチンコのイメージ向上戦略、そして、業界団体から法律改正を訴える働きかけが必要になると考えられる。

    • 2)市場規模の拡大(失われた1000万人のパチンコへの回帰)について

      調査1において(調査回答者3000人)、パチンコを「たまに、よくやる」層は22%、「機会があればやってみたい」という層は12%で、パチンコに無関心な層は66%と半数以上であった。このようにパチンコにそもそも無関心な層を取り込むことは非常に大きな労力を必要とすると推定されるが、前述のような「3店方式」の廃止、そしてパチンコの健全なギャンブルへの転換を通して、少しずつこのような層を取り込むことが期待できると考えられる。

      しかし、やはりイメージ戦略で無関心層を取り込むのは、個人の信念(ギャンブルを嫌いだという思い)にまで影響を与えて行動を変容させることが必要となるので、困難が大きいであろう。そこで、パチンコファンのうちこの直近の10年間で失われた約1千万人を再びパチンコへと取り込むという対策は実現可能性が高く、パチンコ市場規模の拡大という観点から重要な課題であると考えられる。

      すでに述べたように、現在のパチンコファンはヘビープレイヤーに支えられていることが推定される。そのような現状がある中で、この10年間にパチンコをやめてしまった1000万人以上をパチンコに復帰させることができれば市場規模は30兆円を軽く超える水準まで拡大することができるであろう。

    • 2-1) 失われた1000万人のパチンコ回帰の方策について

      この失われた1000万人のパチンコ回帰の具体的な方策をこれから述べる。まず、その根拠となる調査結果を挙げる。前述の調査1では、パチンコファンの今後パチンコ継続意向として、「現状維持」が67%、「増加派」が4%、「抑制減少派(今後パチンコをやめたい、または回数を減らしたい)」が30%であった。パチンコの回数を抑制・減少させる理由として「お金がかかり過ぎる」が63%、「あまり勝てなくなった」が46%であった。

      さらに、調査1において、パチンコを一度やめた者に対して再開意向に関する調査を行っている。その再開条件の中で最も多かったのが「お金をかけないで遊べれば」が58%であった。

      この調査から失われた1000万人のパチンコ回帰への具体的な方策が示唆される。それは、「お金をかけないで遊ぶことができる」パチンコ台の設置数を増加させるという方策である。

      この方策に関しては、すでに、PCSA会員の株式会社ダイナムが「遊べるコーナー」として、比較的低料金で遊べる機種を集めパチンコ本来の楽しさを体験することができるコーナーを40都道府県全211店舗に設置するという対策を採っている。業界最大手がこのような方策を行うことで、社会に与える影響は非常に大きいものになるであろう。

      また、大胆な対策として、現在のようにパチンコ1玉4円という交換レートから、1玉2円という半額に変更するという対策を提案したい。この方法なら、既存のパチンコ台をそのまま使用することができるためコストがほとんどかからない。既存の台を半額で遊ぶことができるようになるため、「お金をかけないで遊ぶことができる」という理念に叶うものになる。

    • 2-2)具体的な投資金額について

      調査1では、レジャーとしてパチンコの適正投資額(金額は全て平均値)として、世間一般が見るパチンコの適正投資額としては5500円という結果であった。ファン(パチンコをよくやる人、たまにやる人)が考える適正投資額は8700円で、世間が考えている投資額よりも3200円高かった。

      この調査結果を基にして考えると、5500円〜8700円程度で遊ぶことができる台を増やすことで、多くの者の理解を得られるということが考えられる。そして、多くの者をパチンコに回帰させることができるのではないかと考えられる。

      調査1ではパチンコ1回の平均遊技金額が11500円というデータがあるので、前述のように1玉2円にすることで、単純に遊技金額を半分にするということはできないが、平均的には世間が考える適正投資金額である5500円〜8700円の幅に収まると考えられる。

    • 3)パチンコ依存症への対策

      依存症の調査において、「パチンコ依存症だと思ったことがある」と回答した者が29%と約3割であった。さらに、自らを「パチンコ依存症だと思う」3割の者のうち、約3割が治療(回復)を必要だと感じていると回答していた。また、治療(回復)を必要だと感じている者のうち8割弱が、治療機関を知らないと回答している。

      パチンコ業界団体である全日遊連が「パチンコ依存症」を問題視し、その問題意識からこのような実態把握のための調査を行ったことは、依存症対策として非常に大きな一歩であったと考えられる。ここで私が提案したいことは、さらにもう一歩進めて、パチンコ店などに治療(回復)に関する啓蒙ポスターやパンフレットを設置するなどの対策をすることを挙げたい。パチンコに依存・はまっている客がいるために、パチンコの売上が上がるという面があるために、パチンコファンを減少させるような対策をすることには非常に困難が伴うことが予想される。しかし、長期的な視野に立った場合、パチンコへの病的な依存状態に対してパチンコ業界が対応をしているという事実が社会的に認知されてくることで、パチンコ業界への社会の認識が変化し、結果的に健全なギャンブルとしての認知が広がる影響があると考えられる。そうしたことで、長期的には、イメージの良いパチンコというギャンブルに新規ファンを取り込む一因となると考えられる。

      また、パチンコ依存だと思われる客に対して声をかけることは非常に困難であるが、ポスターやパンフレットを置くという受身の対策ならば実現可能性があると考えられる。また、この方法については、自分が依存症などと思っている人だけがポスターを見たり、パンフレットを注視したりするだけで、その他の普通にパチンコに興じている客にはそれほど影響がないと考えられる。タバコでは、パッケージに肺ガンのリスクなどについて記述がなされるようになったが、パチンコでもそのようなリスクの提示が必要だと考えられる。

    • 4)「パチンコ店ができると地域環境が良くなる」イメージ転換戦略

      財団法人社会安全研究財団のパチンコに関する世論・有識者調査では、パチンコに関するイメージとして「不健全な感じがする」(30.4%)、「社会に悪影響を与える」(27.7%)といった好ましくない印象が強い一方で、「社会に貢献している面が大きい」という好ましい印象はわずか5.7%であった。

      その一方で、パチンコホール運営の業界1位のマルハンでは、社会貢献事業として、スポーツ協賛、教育・芸術・文化支援活動、災害などの義援金の寄付などの活動を行っている。また、業界2位のダイナムも同様に、中越地震被災地への義援金の寄付などを行っている。また、PCSA会員の企業においても数十万円〜数百万円規模の災害義援金などの多額の寄付を実施している。このように社会貢献活動を行っているにも関わらず、好ましくない印象が強いという現状がある。

      こうした現状を打開するためには、社会貢献活動をより強く世間にアピールすることが重要である。例えば、マスコミなどを通じてこの社会貢献活動を周知させることで、一般の人々の意識が変わり、少しずつパチンコに対する認識も変化していくと考えられる。

      しかし、現時点では、パチンコに対する悪いイメージが強すぎるため、こうした社会貢献活動に関しても、社会に浸透するまでには長い時間がかかることが予想される。

      そこで、こうした社会貢献活動をアピールするだけではなく、さらにこの方針を進めて、「パチンコ店ができると、地域社会が良くなる」というイメージに転換させるような対策が必要ではないかと考えられる。

      例えば、パチンコ店を新規に出店する場合には、必ず店舗の近くに花壇を作ったり木を植えたりすることで周辺環境に配慮することや、空き缶の再利用ボックスを設置するなどでエコロジー拠点を作ることなどが考えられる。また、パチンコ店は一般的に繁華街にあるという立地の利点を活かして、繁華街でのトラブルの際の相談所や警察官の立ち寄りスペースとするなどの案が考えられる。パチンコ店を新規に出店する場合には、このような環境配慮型や治安保全型の店舗設計を義務化することで、社会のパチンコに対する印象は劇的に変化するのではないだろうか。

      営業スペースの確保等の理由で、前述の対策は困難な現状にあると考えられるが、こうした「パチンコ店ができると、地域社会が良くなる」といった強烈なイメージ転換戦略は、パチンコという産業が今後好ましくない印象を払拭し、健全な印象を持ったまま長期的に発展していくためには必須の戦略であると考えられる。

      これまで述べたような、「3店方式」の改正、そこから派生するホール運営企業の株式上場、社会的信用の獲得、そして「お金をかけずに遊べるパチンコへの方針転換」「依存症への対策」「環境配慮型、治安保全型の店舗設計」などの対策を採りながら、複合的に「パチンコ店ができると地域環境が良くなる」というイメージが広く社会に浸透していくことを強く願う。

  • 4.参考文献・URL

    • 溝口敦:パチンコ「30兆円の闇」.小学館,2006
    • 社団法人日本遊技関連事業協会: http://www.nichiyukyo.or.jp/toc/now2006.html (リンク切れ)
    • 財団法人社会安全研究財団.パチンコに関する世論・有識者調査(調査1)
    •     http://www.syaanken.or.jp/02_goannai/11_gaming/gaming1503_03/gaming1503_03.htm
    • 財団法人社会安全研究財団.パチンコに関する世論・有識者調査(PDFファイル)
    •     http://www.syaanken.or.jp/02_goannai/11_gaming/gaming1503_03/pdf/001.pdf
    •     http://www.syaanken.or.jp/02_goannai/11_gaming/gaming1503_03/pdf/002.pdf
    •     http://www.syaanken.or.jp/02_goannai/11_gaming/gaming1503_03/pdf/003.pdf
    • ダイナムIR情報
    •     http://corp.dynam.jp/ICSFiles/afieldfile/2006/06/20/1_dynam_39_koukoku.pdf
    • マルハンIR情報
    •     http://www.maruhan.co.jp/corporate/ir_data/maruhan_report_34f.pdf
    • 全日遊連「パチンコ・パチスロに関するアンケート調査」(調査2)
    •     http://www.zennichiyuren.or.jp/izon.html
    • 全日遊連「パチンコ・パチスロに関するアンケート調査」(PDFファイル)
    •     http://www.zennichiyuren.or.jp/gif/izon/izon1.pdf
    •     http://www.zennichiyuren.or.jp/gif/izon/izon2.pdf
    •     http://www.zennichiyuren.or.jp/gif/izon/izon3.pdf
    •     http://www.zennichiyuren.or.jp/gif/izon/izon4.pdf
    • パチンコ業界ニュース
    •     http://www.p-world.co.jp/news2/2006/4/30/news1695.htm
    • Garbagenews.com
    •     http://www.gamenews.ne.jp/archives/2006/04/post_814.html
    • 財団法人保安電子通信技術協会
    •     http://www.hotsukyo.or.jp/
    • 平成17年度収支計算書総括表
    •     http://www.hotsukyo.or.jp/pdf/document/syushi.pdf
    • 株式会社ダイナム「遊べるコーナー」
    •     http://www.pcsa.jp/asoberu.htm
    • パチンコ産業の現況
    •     http://www.nichiyukyo.or.jp/toc/now2006.html

 
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