1. 「チェーンストア」についての無理解と大誤解

●小売業・サービス業の単なる多店化のことではない。
チェーンストアを単純に小売業やサービス業が多店化するための経営のノウハウのように理解するのは間違いです。ましてやマニュアル化や規格化して、全く同じつくりの店舗を同じやり方で、まるで金太郎飴のように全国津々浦々に展開することだけがチェーンストアだと大半の方は大誤解をしています。これはとんでもない大間違いなのです。

チェーンストアの正式名称は『チェーンストア・インダストリー』といい、大多数の国民大衆の普段の生活を少しでも豊かな者にするために、サービスや消費財を提供する産業構造を大衆消費者の立場から構築する、アメリカで150年もかけて改革・革新してきた人類の経験法則なのです。アメリカでは国民大衆の普段の生活に密接した、アメリカ経済に最も影響力のある巨大基幹産業なのです。
原料・材料から製品加工、流通・卸から最終消費され最後に地球に戻すまでのすべての課程を計画し、デザインし、プロデュースする一大産業がチェーンストア・インダストリーなのです。産地やメーカーをチェーンストア側がコントロールし、大衆が求めるニーズやウォンツに対して最も合理的なコスト・価格と品質をトータルで実現していくのが役割です。

第二次産業革命後、欧米の先進諸国は1.原料メーカー、2.材料メーカー、3.製品加工メーカーに次いで4.流通・サービスが巨大化したのですが、日本だけここが零細のまま残ってしまったのです。その結果として、小売業・サービス業がメーカーの下請けとなり、彼らが大衆消費者のニーズとはまったく関係なく、勝手に作り出してくるものを押し付け販売するという構造になってしまいました。

 このままでは永久に日本の大衆消費者の普段の生活は貧しいままになってしまう、何とかここの革命を起こさなければならないと、40年も前に気づかれたのが渥美俊一先生です。

 小売業・サービス業が巨大化するための唯一の手段が『チェーンストア経営』なのです。

 渥美先生はペガサスクラブを主宰し、人類の経験法則を正確に学ぶ日本で唯一のチェーンストア教育機構を設立されました。その最初の勉強会の仲間が、現在のダイエー、ヨーカ堂、ジャスコ、ニチイ、ユニーなどです。(当時は皆、弱小企業でした)

 120年かかって出来上がった人類の経験法則を正確に学んで、日本で再現するのだからおそらくその半分の60年くらいで、日本にチェーンストア・インダストリーが出来上がるだろうと渥美先生は解説されています。まだその半分の30数年が経過しただけなのです。
チェーンストア・インダストリーが日本に出現してくるのはまだ30年近くはかかるのです。それは遠大な消費財提供産業の構造革命なのです。

 日本にはまだチェーンストア・インダストリーと呼べる企業が存在していないのに、ヤオハンや長崎屋やニチイが消滅したり、No.1のダイエーが落ち目になると、“個性化の時代だから、チェーンかは間違っている”などの批評が続出します。
たった一つの企業グループで30兆円近い売上高を上げている、アメリカのウォルマートの経営手法など学ぶ点が多く存在するのに、日本一の小売業ともてはやされてダイエーもヨーカ堂もいつの間にか渥美先生のもとで謙虚に学ぶことを忘れてしまったのです。(アメリカのチェーンストアの2000年度実績を参照)

 その点、ジャスコ(イオングループ)は現在も渥美先生主催のアメリカセミナーにバス1台仕立てて、熱心に学んでいます。これは志の違いです。


2. 50余年の日本の経済復興最優先社会への修正運動

 不幸な歴史となった第二次世界大戦の結果は、日本中の大都市がほとんど壊滅的な状態となり、敗戦という形で終戦を迎えました。そして帝国主義の国家から、平和憲法の国家へと生まれ変わりました。当時の日本にとって最も優先しなければならなかったのは、一刻も早く世界の先進諸国に追いつく“経済的な復興”でした。

 この半世紀,他の国々から“エコノミーアニマル”といわれようが“株式会社日本”といわれようが、日本は政治も経済も教育もありとあらゆる社会システムを経済復興を最優先にして、作り上げてきました。

 そのやり方は、日本でしか通用しない日本独自のやり方でした。その結果GDPでは世界の雄にまで経済的に復興・成長してきました。そして“奇跡の復興”といわれる急速な成長を遂げてきました。そのことは決して否定することは出来ません。

 しかしその結果は、大切な大多数の国民大衆の普段の暮らしを犠牲にしてきてしまいました。たとえば教育面では、人を労る心”とか、敬老の心”とか、譲り合う気持ち”とか、かって日本の人々がもっとも大切にしてきたものが失われつつあります。戦後の教育政策が大企業や官僚優先だった歪です。

 この10数年、多くの大衆が気軽に諸外国に出かけるようになり、先進諸国の大衆の普段の暮らしに接して、『日本は、何かおかしいぞ!』と気づき始めたのです。特に普段の消費生活が、暮らす側の立場で仕上がっていないことと、本当の豊かさとはどういうことか”がようやくわかってきました。
次表に示したように、戦後半世紀余続いた経済復興最優先型の社会を、国民大衆優先型の社会へ大きく変革すべきです。これは戦後半世紀余の日本の社会システムづくりの修正運動なのです。

●社会システム構築のモノサシの再設定

 今、世の中は平成不況”とかデフレ・スパイラル”とか言われていますが、企業経営のモノサシを従来型から大衆優先型に切り換えた企業群は、大衆に選ばれ、支持され、急速に成長しています。ユニクロはマスコミの話題になり、周知のところとなりましたが、その他の成長し続けている大衆優先型企業群はほとんど目立たない存在です。それは大衆の普段の生活のすぐ隣で地道にコツコツ努力しているからです。まさに生活民主主義が、この日本で、今着実に進行しています。やり方によっては不況どころか,千載一遇のビッグチャンスが来ているのです。


3. パチンコも大衆娯楽としてもう一度再構築し、産業化するとき

 半世紀余りを経ても、日本で生まれたパチンコは国民大衆の気軽な遊びとして多くの人々が参加し、普段の生活の一部になっています。多くの技術革新が行われ、近代化し、大衆の娯楽として、25兆円を超える市場規模にまで成長してきました。

 しかしその中身は、残念ながら、真の意味でお客様の立場で構築されてはいません。やはりメーカー主導型であり、多くの遊技機メーカーは全国のホールを通じて巨額の利益を得てきました。一方大衆消費者に最も近いパチンコホールは相変わらず脱税や不正機や遠隔操作など、国民大衆から信頼を得る状況とはほど遠いものがあります。金儲け主義と言われてもやむを得ない状況が続いています。そこに働く人々のモラルも低く、社会的地位も決して高くありません。

 パチンコは日本が生んだ大衆娯楽として気軽に、楽しく、安価に遊べたはずです。それがいつの間にか何万円も用意して、何万円も勝った負けたというゲームにしてきてしまいました。一時は3千万人にも達した遊技人口が2千万人に落ち込んでいます。普段の生活の一部として気軽にプレイしていたライトユーザーが去っているのです。かっては100円から遊べた娯楽です。パチンコを遊技されるお客様のニーズは、軽いものから重いものまで、利用動機もいろいろです。お客様のニーズや動機に合わせて、パチンコのサービスを提供すべきなのです。

 もう一度大多数の国民大衆が気軽に、安価に、安心して、楽しく遊べる娯楽に返すべきです。

 その実現は1〜2社の努力では不可能です。今回のパチンコ・チェーンストア協会は、日本が生んだこの庶民文化と言っても良いほどのパチンコを開かれたビジネスとして産業化し、大多数の国民大衆に認知されることを目的にしています。その目的を共有する企業が集結し、経験法則を正確に学び、協調できるところは互いに協調し、正々堂々と競争し、お客様に正確に情報公開をし、一刻も早くその目的を実現させようとするものです。

 さらにパチンコ業界で働く人々の労働環境を整備し、誇りにあふれたサービスを実現し、お客様の普段の生活になくてはならない娯楽として広く社会に貢献することを目的にしているのです。